メック解説&運用(55t)

  アポロ  キンタロー  デルビッシュ




 デルビッシュの轍は踏まない
3050年代
APL−1M アポロ APOLLO

背景
 マーリック家の自由惑星同盟の出した「新たな設計の中量級の支援機」という要求を受けて、惑星キーストーンのアースワーク社はアポロを設計した。長期にわたってこのメックの製造注文が続いたため、惑星キーストーンはただ一つのメックの製造だけで一大工業惑星に変貌することになった。自由惑星同盟だけではなく、クリタ家のドラコ連合もアポロへの関心を表明し、すぐにアポロの発注を始めた。また、噂ではシュタイナー=ダビオン家の連邦共和国もアポロのコンセプトに着目し、似たようなメックの設計を始めたという。
 他の惑星のアースワーク社の工場がアポロの生産を始めたのは、キーストーンの工場よりもかなり遅くになってからだが、それでも上のような事情によって生産注文がひっきりなしに届くので、十分に利益を上げることができた。

 アポロは「小アーチャー」の異名を取るが、アーチャーに比べると15トンも軽い。そのためアルテミス4火器管制機構を搭載したLRM15を用い、より装甲が薄く、近接火力も落ちている。しかしアーチャーに比べて非常にコストが安く押さえられているので、その分で相殺していると言える。

仕様
機動力 4/6/0 4’886’174CB
放熱能力 20
装甲 184
武装 名称 装備位置
LRM15 左胴
アルテミス4火器管制機構 左胴
LRM15 右胴
アルテミス4火器管制機構 右胴
弾薬(LRM15)4t=32射 左右胴に2tずつ
2×小口径パルスレーザー 胴中央

一般戦術
 アポロは左右胴装備のLRM15で遠距離攻撃を行う支援機です。小アーチャーとは言っても、LRM15にはアルテミス4火器管制機構が搭載されており、期待ダメージはLRM20より若干低くなる程度で、ほぼアーチャーと同火力と言っていいでしょう。それどころか、まったく熱が出ない機体で、弾薬が尽きることもほとんど考えなくてもいいので、アーチャーよりも運用しやすいぐらいです。ただし重量が軽い分、装甲がやや薄く、近距離火力もほぼ皆無です。LRMの最低射程が始まる6距離では小口径パルスレーザーは遠距離となってしまい+2の修正を受けてしまいます。もちろんダメージも低いため、アポロで接近戦は行わない方が無難でしょう。ただ、装甲はそれなりにあるので、接近する機体を無視して遠くの機体を狙うことなら良です。
 装甲が薄いといっても、15トンも重いアーチャーと比較しての話です。55トンとしては装甲を限界まで張っているため、高い耐久性を示します。高台に登って支援機を演じるのに十分な装甲はあります。

対軽量級の戦術
 アポロは中量級の中でもほぼ最低ランクの機動力しか備えておらず、ジャンプ能力もないため、軽量級相手では翻弄されてしまうことがしばしばあります。なるべく遠距離のうちにLRMでかたをつけてしまうか、高台に登って軽量級が隠れられる場所を少なくしましょう。十分な距離があり、射線さえ通っていれば(その状況を作るのが難しいのですが)絶対に負けることはありません。

対中量級の戦術
 支援機という性格上、同重量の機体に接近されると手も足も出なくなります。ただ装甲は分厚いので、高台に登り、接近する機体は無視して遠くの機体を狙うことができます。自分の生存は気にせずに、いかにLRMを有効に使えるか、ということだけを考えて移動しましょう。
 相手がER−PPCを主体にした機体の場合、最初は押されるかもしれませんが、排熱の心配がまったくないのと、装甲が厚いのとで、いずれ押し返すことができるはずです。ただし、相手が近寄ってこなければ、ですが。
 高台に登って敵の火力を引き付けつつ、LRMをばらまくこともできれば最高です。

対重量級以上の戦術
 重量級相手でもしばらくは戦えるだけの装甲がありますが、いかんせん火力が低すぎます。中量級相手ならそれほどめだたない程度の低さですが、重量級以上を相手にした場合、火力不足を思い知ることになるでしょう。しかも機動力も低いので逃げ回ることもなかなかできません。はじめから主戦場から距離を置き、支援機に徹しましょう。うまくすれば囮としての役割を果たすことができます。




 BGMは”天才ドロンボー”で。
3020年代
KTO−18 キンタロー KINTARO

背景
 キンタローは本来、ナークミサイルビーコンに対応した機体として作られました。ナークミサイルビーコンは攻撃力を持たず、磁力を帯びた弾頭で目標に張り付き、他のナーク対応のミサイルを誘導し、目標に確実にロックオンさせるためのミサイルポッドです。そのためキンタローはよく火力小隊に配備されていました。しかし、継承権戦争による文明の衰退がナークの支援を受けられるミサイルを製造できなくしていきました。2792年に最後の工場が破壊されると、キンタローのパイロットたちはナーク発射筒を3つめの6連SRM発射筒に換装しました。現在ではナークシステムを塔載しているキンタローは見ることができません。ちなみにナーク発射筒で射出できる通常弾頭(爆発弾頭・ダメージ4点)が開発されるのは技術力が復興した3050年代のことです。

仕様
機動力 5/8/0 4’699’808CB
放熱能力 10
装甲 176
武装 名称 装備位置
LRM5 左腕
弾薬(LRM5)1t=24射 左胴
SRM6 左腕
SRM6 右胴
SRM6 胴中央
弾薬(SRM6)3t=45射 左胴2t/右胴1t
中口径レーザー 左腕
中口径レーザー 右腕

一般戦術
 キンタローは高い攻撃力と装甲を持った機体です。その反面、排熱に問題がある構造となっています。この問題にうまく対処しないと攻撃能力を活かしきれないことになります。
 過熱無しの行動は、走行してSRM6を2門というところでしょう。これでもダメージは16点。中量級としては平均以上のダメージ期待値でしょう。
 走行してLRM以外の全武器発射で10点の過熱ですが、ダメージは34点にも達します(SRMが全弾命中すれば46点です)。この数字は中量級ではトップクラスです。最も効果的なときに全力射撃をすることが求められる機体ですので、過熱するタイミングを見きわめることが大切です。
 申し訳程度に付いているLRM5の存在は忘れてしまってもいいかもしれません。お守り程度の役目しか果たしてくれないでしょう。

対軽量級の戦術
 軽量級メックには射程の長い武器がほとんど積まれていないので、相手にとって有利な射程はキンタローにとっても有利な射程ということになります。なるべく背後を取られないようにしましょう。

対中量級の戦術
 接近しましょう。遠距離攻撃能力がほとんどないので、他に選択の余地はありません。その代わりに、近距離攻撃能力と装甲は最高クラスです。3距離以内にとどまって射ち合い、装甲が削れてきたら全力射撃です。3距離以内で全力射撃をしてキンタローに勝てる中量級などまず存在しません。...ただしハンチバックは別です。
 確かに装甲も期待ダメージもハンチバックよりもわずかに上です。一撃必殺な武器こそありませんが、地味でも実戦的で有効な武器がたくさん付いています。しかし、排熱面の弱さから、全力射撃を連続して行うことができないので、射ち負けるおそれがあります。ハンチバックよりも機動力はあるので、遠距離を保って、LRM5で削れるだけ削りましょう。

対重量級以上の戦術
 重量級以上は主武器以外に中口径レーザーを数門装備していることが多く、放熱能力も高いメックが多いです。キンタローよりも高い装甲を持つ機体も多くいます。正面から挑むのは危険でしょう。かといって、キンタローには正面から突っ込んでいって射ち合うという以外の行動はできません。重量級メックと1対1で戦うのは危険です。相手の近距離戦闘能力が15点(中口径レーザー3門程度)以下なら相手をしてもいいでしょう。

改造指針
 使う機会の少ない中口径レーザーを取り外して、2トンを放熱機に回しましょう。これでSRMを3門射って、2門射って、という繰り返しができます。過熱覚悟の全力射撃をしたときのダメージが落ちますが、全体的な戦闘能力は大きく上昇するはずです。
 あるいは、思い切って遠距離攻撃能力を諦め、LRM5とその弾薬を取り除く手もあります。余った3トンはすべて放熱機に回しましょう。これで中口径レーザーを残したまま近距離戦闘能力を上げることができます。全力射撃からの回復も早くなります。




 器用貧乏な”いまいちくん”
3020年代
DV−6M デルビッシュ DERVISH

背景
 デルビッシュは星間連盟晩期に大量生産されました。多くのデルビッシュは星間連盟崩壊以前に作られ、現在も世界中で見ることができるメジャーなメックです。その戦場での役割はみすぼらしいアーチャーというものにとどまっています。ジャンプジェットによる機動力で装甲の薄さを補い、長距離も近距離も戦えることを目指した設計ですが、成功したとは言い難いでしょう。
 星間連盟の末期、デルビッシュは大きな改造を施されました。それまでのGM220エンジンを現在のコアテック275に換装したのです。これによって機動力の上昇がはかられました。

仕様
機動力 5/8/5 4’980’668CB
放熱能力 10
装甲 120
武装 名称 装備位置
LRM10 右胴
LRM10 左胴
弾薬(LRM10)2t=24射 右胴・左胴に1tずつ
中口径レーザー 右腕
中口径レーザー 左腕
SRM2 右腕
SRM2 左腕
弾薬(SRM2)2t=100射 右胴・左胴に1tずつ

一般戦術
 デルビッシュは2門のLRM10で遠距離を、2門の中口径レーザーと2門のSRM2で近距離を、ともに戦えるメックです。また、ジャンプさえしなければ過熱もしません。しかし、砲台に徹したり、近接戦を行おうにも、高台を死守したり、正面から射ち合うだけの装甲はありません。なるべく遠くから部分遮蔽や森などに隠れてLRMを射つという戦法になりそうです。
 4〜5距離はどの武器も修正を受けてしまう距離です。なるべく3距離以内か6距離以上で戦いましょう。

対軽量級の戦術
 薄いといっても軽量級を相手にするには十分な装甲と火力です。それでもなるべくなら遠距離のうちにLRMでかたをつけてしまいましょう。

対中量級の戦術
 せっかくどの距離でも戦える武装なのですから、有利な距離を見つけて、と言いたいところですが、この装甲では一般の中量級と近距離や格闘距離で戦うのは危険です。近距離火力は14点と平均ですが、装甲の薄さで先に倒れてしまうでしょう。やはりLRM主体で戦うのが基本です。

対重量級以上の戦術
 重量級以上の相手をするには火力・装甲ともに不足しています。なるべく支援機に徹するべきでしょう。その場合でも高台に登って砲火が集中すればすぐに沈んでしまいます。部分遮蔽や森林に隠れましょう。ジャンプで有利な地形を渡り歩きながらLRM10を1門だけ射つというのもいいでしょう。

改造指針
 LRM10をLRM5×2に換装しましょう。期待ダメージ・熱・装備欄が同じで重量が1トン余ります。2門あるので2トンですね。SRM2の弾薬も1トン削ってもいいでしょう。この3トンでLRM5を1門と弾薬1トンを積み遠距離火力を上げてもいいですし、装甲と放熱機に回してもいいでしょう。
 接近戦で使用する中口径レーザーとSRMが腕に付いているのは問題でしょう。胴に移動しましょう。


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