メックウォーリアTRPGリプレイ
メックウォーリア リプレイ 2000年5/17

《現代編》
「第1話 〜10年前〜 3050年 異星人(エイリアン)襲来!?」

《キャラクター紹介》(50音順)

ジーン准尉  射撃/操縦基本値=6/6
 体力7 敏捷7 知性8 魅力4
 特徴:「水恐怖症」「痛みへの耐性」「大学出身」
 乗機はラプター(25トン)。
RTX1−0A ラプター Raptor 25トン
 移動力7/11/0。装甲値56。放熱能力20。武装は2×大口径レーザー、3×小口径レーザー。オムニメックです。
実はパーティで一番打たれ強い。高機動力で高攻撃力のラプターを操るスピードファイター。

トーマス少尉  射撃/操縦基本値=6/6
 体力4 敏捷7 知性8 魅力7
 特徴:「水恐怖症」「痛みへの耐性」「大学出身」
 乗機はリンクス(55トン)。
LNX−9R リンクス Lynx 55トン
 移動力5/8/5。装甲値185。放熱能力30。武装はER−PPC、ER−大口径レーザー、4×中口径レーザー。
この部隊の小隊長。攻防のバランスの取れた秀作機リンクスを操る。

フェイミン軍曹  射撃/操縦基本値=6/5
 体力2 敏捷7 知性7 魅力8
 特徴:「水恐怖症」「痛みへの耐性」「ガラスの顎」「格闘の達人」「エッジ1レベル」「天性の才能=盗賊技術」
 乗機はノ=ダチ(70トン)。
NDA−1K ノ=ダチ No−Dachi 70トン
 移動力は5/8/0。装甲値192。放熱能力20。武装はER−PPC、2×MRM20、中口径レーザー、SRM4、SRM2、メック用ソード、TSM内蔵。
メックによる格闘を得意とする肉弾戦ファイター。乗機も接近戦に強いクリタ家特製メック、ノ=ダチである。
 みごとにメック獲得ロールで6ゾロ(70トン)を振ってくれた。その瞬間、GMの頭の中に貯えられていた構想の数々がぼろぼろと崩壊していった(笑)。
 
 

《はじめに》

 カーニー=フチダ理論の発展によって人類は光速の壁を越え、恒星間航行が実現した。一時的に人類の政体は統一され、「星間連盟 Star League」の旗の下に全ての人類がまとめられた。
(中略)
 2766年、星間連盟の首長リチャード=キャメロンがステファン=アマリスによって虐殺される。残された星間連盟の「アレクサンドル=ケレンスキー将軍」は虐殺者を首長と仰ぐことを拒否した。彼は正規軍の2/3を率いて、人類の領域を見捨て、はるか宇宙のかなた目指して去っていったのだ。

 こうして星間連盟とその軍隊が消滅すると、5つの王家は星間連盟の「後継者 Succession States」を名乗り、「継承権戦争 Succession Wars」と呼ばれる戦争を起こした。
 この戦争は300年間にわたって第1次から第4次までおこなわれ、いまだその決着はついていない。
(中略)
 現在、戦場の主役兵器は「バトルメック Battlemech」あるいは「メック 'Mech」と略称される巨大ロボットであり、歴史を動かすのは、この鋼鉄の巨人を操る「メック戦士 Mechwarrior」と呼ばれるパイロットたちである。

(新入生用に作成した『B5でわかるバトルテックの歴史−3049年編』よりカット&ペースト)
 

ジーン「バトルテックは初めてなんですけど、どんな能力値を作ったらいいのか」
GM「よほど極端なものを作らない限り、それなりに使えるキャラクターになるけど。ほかの人の能力を参考に決めるといいかな……あちらは参考にならないからね(笑)」
フェイミン「また体力2!(先週、試しに作ったキャラクターは体力2、魅力2だった)作成点を「操縦=メック」につっこんで、「格闘の達人」をとって……」
GM「まあ、魅力まで2じゃないだけましか(嘆息)」
 
 

《本編》

GM「というわけで、メックウォリアー新キャンペーンの始まりです。
 今回、君たちの所属していた傭兵部隊は壊滅状態という設定です。ある作戦に参加して、壊滅状態になった部隊の生き残りを集めて、なんとか1個小隊に再編したというわけで。それで、残りの契約期間を平和で安全な田舎の惑星の警備という名目で消化しようとしている。この期間に部隊の建て直しをできるように、というクリタ家の老婆心だ。」
フェイミン「クリタ家〜?」(注:クリタ家はたいてい悪役である)
GM「メックの選択でノ=ダチ(クリタ家の特製メック)なんぞを選んだ人がいたからね。特製メックをもらうくらい貢献していた部隊だったから、解散せずに建て直しのチャンスがあるんじゃないか(←いま決めたばかりの設定を押し付けようとしている(笑))」
トーマス「まあ、いいか」
GM「そんなわけで君たちはこの田舎の惑星ムーンドーンに駐屯している」

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 惑星ムーンドーン(ドラコ連邦所属)。人口:200万人。首都:エアブルーム。主要産業:農業・小型電子製品。
 航空戦力:レパード級降下船1隻(PCの部隊所有、破損がひどく、航空能力こそ正常だが、武装は機能していない)、輸送機1隻(メック1個小隊を輸送可、ほぼ非武装)、気圏戦闘機なし。
 地上戦力:メック1個小隊(PCの部隊)。
 対宙レーダー施設:なし。

 惑星上の都市はほぼ一直線に並んでいる。

 首都エアブルーム・宇宙港・傭兵部隊駐屯地
    ↑↓(陸上(メックで)10時間、航空3時間、海上20時間)
 アームブリッジ
    ↑↓(陸上72時間(非常に遠回り)、航空3時間、海上20時間)
 エデン・HPG(超光速)通信施設
    ↑↓(陸上10時間、航空3時間、タカシャは内陸都市のため海上交通不可)
 タカシャ

GM「そんなある日、正確には5月1日の09:30ごろ。この星のコムスター教団(情報通信を担っている団体。ハイテク技術を信仰している宗教団体)の僧が君たちを尋ねてくる。『小隊長殿はおられるかな?』」
トーマス「何でしょうか」
GM「『実は調査を依頼したいのだが。駐屯任務の傭兵部隊のように自由に動ける組織に頼みたい仕事なのだ』自由に動けるってのは『暇なんだろう』って意味もあるけどね(笑)」
フェイミン「貧窮している部隊の運営資金の足しになるのなら、喜んで」
GM「『もちろん報酬は出るとも。必要経費込みの成功報酬で10万CBを用意してある』」
ジーン「調査の内容は」
GM「『うむ。ここ数ヶ月辺境方面への通信が途絶えているのは諸君らも知っての通り。一部にはエイリアンの侵略だなどという無責任な噂も飛び交っておるようだが。』」
フェイミン「(苦笑)」(←プレイヤーはこの時代の歴史を知っている)
GM「『ところが昨日来、中心領域方面へのHPG(超光速)通信までも不通になったのです。原因はいろいろ考えられますが、隣の惑星のシュバルツとビレントフタのHPG(超光速)施設が機能を停止した可能性もある。もちろん、この惑星のHPG施設が何らかの妨害を受けている可能性も高いのです。
 とりあえず、この事態の原因を究明してもらいたい。』」
フェイミン「これは、隣の惑星まで行けってことかな」
GM「『とりあえずは、この惑星上の調査から始めてもらいたいものですが。一応、惑星知事に『官・民・教を問わず、自由に通行可能』な通行許可証を発行してもらったので。使ってください』」
トーマス「正規軍の協力は」
GM「『最初は正規軍に調査を依頼したのですが、『傭兵部隊が暇を持て余しているだろうから』とたらい回しにされてきたわけです』(笑)」
ジーン「なるほど」
トーマス「とりあえず、HPG施設に行ってみますか」
フェイミン「メックに乗っていくか」
トーマス「それが一番安全」

GM「ほいほい、メックで行く、と。それなら、14:00ごろはまだアームブリッジにも着いていない頃かな。さっきのコムスター僧から通信が入るよ。
 『異常が発生しました。さきほどHPG施設との連絡が途絶しました』」
フェイミン「これは、何か起きたね」

GM「さらに惑星知事からも連絡が入る。『さきほど南方大陸(エデン・タカシャ)との交信が途絶えた。交通(船)も帰ってこない』と」
トーマス「どんどん事態が進んでいくぞ」
フェイミン「ゆっくりメックで歩いていく場合じゃないな。アームブリッジで船を調達してエデンまで船で行こう。軍人権限で船を調達だ」
ジーン「メックはどうするの」
トーマス「船にメックは乗る?」
GM「自動車なんかを乗せるカーゴ一杯を占有するかな。1隻に1機が限界。もちろんこの状態で船が攻撃を受ければメックは海の藻くず。陸に近いところで沈んだのなら、歩いて上陸できるけど。」
トーマス「仕方が無い。メックは置いていこう。基地の兵士にいつでも輸送できる状態にしておいてもらおう」

GM「では、船でエデンへ向かう。アームブリッジに着くのが5月1日の20:00ごろだから。翌日(5月2日の)の10:00、航路の半分ほど行ったところで、エデンから来る船に出会う。」
ジーン「船はどんな様子?」
GM「船の甲板に人が集まっている。で、君たちの船に気づくと、呼びかけてくる」
フェイミン「無線はないの」
GM「ああ、そういえば、あるねえ。じゃあ、無線で呼びかけてくる。『エデンに行くのは危険だ。引き返した方がいい』」
トーマス「エデンはどんな様子だった」
GM「『町は突然やってきたエイリアンに占領されている。』」
ジーン「エイリアン?」
GM「『そうだ。メックに似た巨大ロボットが2台、それから身長2〜3mほどの鋼鉄の鎧に身を包んだエイリアンがたくさん、町を襲ってきたんだ。おれたちは何とか出港できたが、他の船はほとんど押さえられている』」
トーマス「これはまずいな」
フェイミン「やはり、ここは潜入が得意な人で潜入しよう」
トーマス「よし。じゃあ、フェイミンと私がこの船で潜入する。ジーンはこのまま引き返す船に乗って、メックを輸送機に積んでいつでも空輸できるようにしてくれ」
GM「(え? パーティ分割かい。それは困ったなあ。なんとかしよう)」

フェイミン「人気の無い、港じゃない海岸に上陸する」
GM「うん、上陸できた。海岸線に兵力を配置するほどの数のエイリアンはいないようだ。」
トーマス「それなら、エデンへ向かう」
GM「はい。なにごともなくエデンに着いた」
トーマス「町の感じは?」
GM「町のいくつかから煙が上がっている。確かに2台のメックのような巨大ロボットがいる。身長2〜3mのパワードアーマーも。それと、あちこちに兵士の姿が見られる。」
フェイミン「兵士の服装は中心領域のもの?」
GM「知性度ロールを行なってもらおうか。軍人だし、−4の修正をあげよう」
トーマス「成功しろ、と言っているようなものだな」
GM「中心領域には存在しない軍服だ。ああ、ウルフ竜騎兵団の軍服に似ているかな」
フェイミン「はは(笑)」

 兵士の姿がエイリアンばかりではなく人間もいる、とか色々驚いてほしかったのだが。

トーマス「煙はどこから上がっているのかな。ちょっと発生源までいってみよう」
GM「政庁と逓信センターが破壊されているね。それと海港の管制」
フェイミン「なるほど」
トーマス「とりあえず町はいいとして。HPG施設へいこうか」
GM「じゃあ、ここで船の方に話を戻そう」

GMジーンが帰りの船でアームブリッジに着いた頃、……知性度ロールをしてくれるかな。−2の修正で」
ジーン「成功」
GM「じゃあ、物陰からジーンの方をうかがっている人に気づく。」
ジーン「観察してみます」
GM「三十代半ばくらいの男性だ。服装は普通の民間人だけど、髷(まげ)を結っていて、軍人の家系の出身だということが一目で分かる。身のこなしも軍人のものだ。ただ、潜入工作なんかには慣れていないのか、明らかに異質。ばれてることにも気づいていないようだ」
ジーン「近寄ってみよう。何か用ですか?」
GM「『うっ。あ、いや。怪しいものじゃないが』うろたえている様子だね」
フェイミン「怪しいって(笑)」
GM「『きみは傭兵部隊の所属だね』」
ジーン「そうですけど」
GM「『じ、実は、ある理由があって。エデンまで行きたいのだが。連れていってもらえないだろうか?』」
ジーン「おじさん、軍人でしょう。正規軍に頼めないの?」
GM「『事が公になると国際問題に……ああ、いや、その』」
ジーン「とにかく、小隊長に連絡を取りましょう。通信機で」
GM「このころは2人がまだエデンの町中にいる頃かな。通信が入るよ」
トーマス「もしもし」
ジーン「えっと、軍人のひとがエデンまで連れていってほしいそうなんですけど」
トーマス「詳しい話を聞きたいな」
GM「『むう。ばれてしまっていては仕方が無い(笑)。私はある国外の重要人物の護衛の任についていた者だ。ドラコ連邦の首長セオドア=クリタの古い友人で、そのつてを利用して、ちょくちょくドラコ連邦に遊びに来るのだ。今回、その重要人物はこの星に遊びに来ていたのだが、突然の襲撃ではぐれてしまった。おそらくエデンかHPG施設にいると思われるのだが。彼の身に何かあると国際問題に発展しかねない。なんとか安全を確保しないと』」
トーマス「仕方が無いなあ、そこで船を調達して来なさいな」

GM「というわけで合流した。」
フェイミン「その人物の名は?」
GM「『わけあって名前は言えないが、写真は見せなくてはいけないだろう。この人物だ』と17、8才の少年の写真を見せてくれる。<交渉=外交>でロールしてくれるかな」
トーマス「成功」
GM「ビクター=シュタイナー=ダビオンという人物だ。隣国の連邦共和国の王子。現在の指導者ハンス=ダビオンとメリッサ=シュタイナーの長男。かなり活発な性格で、王宮に閉じこもっているのが大嫌い、という人物。ついでに機械マニアだ。
 ちなみに、『私の名前はカタクラ=ススム。ここクリタ家の武人だ。それから、私の同僚、ティラ=ミラボーグが衛星軌道上で航宙船と降下船、気圏戦闘機、各1機を待機させている。必要なら使ってくれ』と言う」
トーマス「ところで、どうしてエデン発の船に乗っていたのかな?」

 それはパーティが分散することが好ましくなかったので、シナリオを変更したためです。この一人で置いてきぼりになったのって、初めてバトルテックに参加したプレイヤーだったし。

GM「さて、君たちがエデンを離れようとすると、突然エデン中の街頭TVが点灯する。そしてTVの画面に古いデザインの軍服に身を包んだ一人の人物が浮かび上がる。どこかで見たことがある人物かもしれないね。知性度ロールを行なってくれるかな」
全員「成功」
GM「アレクサンドル=ケレンスキー将軍だね。詳しくは冒頭のバトルテックの歴史を参照してね。『全ての中心領域市民に告ぐ。私、アレクサンドル=ケレンスキーは諸君らに別れを告げねばならぬ』という超有名な、あの台詞が画面から流れる。士官学校の歴史教育で観た事がある映像かもね。ケレンスキー将軍が人類の前から姿を消す直前に行なった演説だ。『(中略)我々は、あるいは我々の子らは、あるいは我々の孫たちは、いつか帰ってくるだろう。(中略)さらばだ』
 という映像の後、また画面が切り替わって、今度は中年の男性が姿をあらわす。
 『はじめまして、中心領域の諸君。私はケレンスキーの後継者、氏族(クラン)の大汗(だいはーん)レオ=シャワーズだ。我々は帰ってきた。我らの父祖ケレンスキーの遺志を果たすために。(中略)再び母なる地球をこの手に取り戻すまで、我々は進み続けるのだ』

トーマス「なるほど、エイリアンの正体がこれか」
フェイミン「では、HPG施設に向かおう」

 もっと驚いてほしいなあ。といっても。このプレイヤーたちはこの時代の歴史を知っているからなあ。

GM「エデンから1時間ほどでHPG施設に到着する」
フェイミン「まずは遠くから双眼鏡で確認」
GM「はいよ。HPG施設は、こんな感じの施設だ。宿舎と車庫とHPG設備棟と見張り塔がある。そのうち車庫と見張り塔は破壊されている。宿舎とHPG設備棟は渡り廊下で結ばれているんだけど、この渡り廊下も破壊されている。」

 現在、宿舎とHPG施設だけが残っている、ということです。

ジーン「見張りの状況は?」
GM「HPG設備棟の周りに3体のエイリアン(エレメンタルというバトルスーツ)がいる。」
フェイミン「エレメンタルに歩兵では挑めないぞ。隠れて宿舎に近寄れるかな。おっと、『エレメンタル』ってのはプレイヤー発言」
GM「まあ、歩兵ではかないそうに見えないのは確かだしね。うん。彼らはHPG設備を重視しているから、宿舎の影から近寄ることは出来るよ。それでも<盗賊技能=潜伏>−4で判定を行なってもらうけど」
フェイミン「目標値4か。それなら……成功」
GM「じゃあ、扉の前までたどり着けたよ」
フェイミン「聞き耳しよう……6ゾロ」
GM「おお。じゃあ、中に兵士が2人いるってことまでわかるね。『捕虜ども、暴れるんじゃないぞ』ってなことを言っている」
フェイミン「手招きでみんなを呼ぼう」
ジーントーマス「<盗賊=潜伏>に成功」
GM「カタクラ氏も成功だ。みんなで宿舎の扉の前までたどり着いた」
トーマス「射撃の基本値は、カタクラさんが4でジーンと私が7、フェイミンが8か。じゃあ、カタクラさんに兵士Aを撃ってもらって、他の3人で兵士Bを狙おう」
ジーンフェイミン「了解」

トーマス「扉を開ける。1……2……3!」
GM「扉の向こうに食堂へ通じると思しき大きな扉があって、その前に2人の兵士が立っている。完全に奇襲だから、このターンは一方的に行動していいよ。ちなみに距離は9距離だ」
ジーン「レーザーライフルが命中。胴に16点」
トーマス「こちらもレーザーライフルで右腕に10点」
GM「兵士Bはそれで気絶した」
フェイミン「(フェイミンの命中判定を振る)……レーザーピストルは外した。(カタクラの命中判定を振る)……おかしい。目標値4をなぜ外す」
GM「おや、兵士Aが生き残ったね。じゃあ、次のターンにいこうか」

GM「まず移動フェイズ」
トーマス「静止」
ジーン「わたしも静止」
GM「兵士Aも静止」
フェイミン「(フェイミンは)扉の影の九分遮蔽に隠れる。カタクラは静止」

 メックウォリアーTRPGの戦闘は非常に致死的なのですが、体力度が2しかないフェイミンはとりわけ死亡率が高いのです。他のキャラクターは頭部以外に当たったのであれば、経験点を払って死亡率を下げることができます。しかし、フェイミンの場合は、経験点を限界まで払ったとしても、死亡する確率は非常に高いのです。GMとしては九分遮蔽どころか、完全に逃げてもらいたいくらいなのですが。
 このラウンドはPC側全員の射撃が命中し、哀れ兵士Aは死亡します。が……。

GM「兵士Aは全身を蜂の巣にされて即死しているけど、射撃は全員が同時に行なっていることになるから、だれかに飛んでいくんだよなあ。公平にダイスで決めようか……カタクラ氏だ。……当たってる。胴に10点。致命的命中もなし。まだ気絶判定もいらないな。腹を押さえてうめいていよう」

 なんだか以前のプレイの第1回を見ているような展開でした。

トーマス「とりあえず、止血をしておくとして、捕虜は」
GM「食堂の中にまとめて押し込められている。10人ほどの職員と、身なりのいい坊っちゃんが1人。カタクラ氏を見ると『おお。カタクラ。助けに来てくれたんだな。信じていたぞ』と寄ってくる」
フェイミン「こちらは一段落として、問題は10人の職員を連れて脱出する方法だな。まさか置いていくわけにもいかないし」
ジーン「1人ずつ脱出してもらおうか」
トーマス「そうだな。誰かが見つかった時点で、残りの人は全員でばらばらの方向に走り出す、ということで」

 目標値4といえば失敗する確率は1/12です。判定はどんどん成功し、最後の1人まできました。

ジーン「最後のひとりで失敗」
GM「おや、じゃあ、みんなが森の中などで見守る中、エイリアンのうちの一体が気づいて、最後のひとりを追いかけてくる。『そこの捕虜。止まりなさい』と警告を発する。でも捕虜が止まらないのを見て、SRM2を発射する」
フェイミン「それは経験点を払って目標値を13にする」
GM「短距離ミサイルは外れて近くの地面をえぐる。エイリアンは宿舎の異常に気づいて、宿舎の方へ確認に向かう。そのあいだに最後の捕虜はみんなのところまで到達した」
ジーン「いまのうちにエデンへ引き返しましょう」
トーマス「メックが無いと話にならない。とにかく船で引き返そう」

 もし、PC側がメックを持ってきていたのなら、ここでメック対エレメンタル戦になる予定でした。PC側が生身だったので、ここはエレメンタル側が警戒して引き上げたことにしました。このあたりのバランス調整は、メック戦士と偵察・整備兵が兼ねられるプレイでは必要なものでしょう。
 あまりに厳しくすると、PCは常に警戒してメックから降りなくなってしまいます。結果として、危険な「メックによる実力行使」ばかりのプレイを招くことにもなりかねません。
 もちろん。プレイヤーが必要以上にGMに甘えすぎないようにする程度の公正さは必要ですが。
 

GM「エデンの近くに隠してあった船に乗って、アームブリッジへ帰るところに、基地の兵士から連絡が入る。『例のTV放送での宣言を受けて、惑星知事はドラコ連合からの離反を決定。氏族(クラン)へ従属するそうです。その手土産代わりに我々傭兵部隊を差し出すつもりのようです』」
ジーン「困ったね」
GM「『メックはなんとか輸送機に乗せて、基地の兵士と脱出に成功しました。降下船は宇宙港に停泊したままなので、惑星知事の手に落ちた模様です。なお、首都エアブルーム・宇宙港周辺で氏族(クラン)製のメック3機を確認しています』」
トーマス「とにかく、メックを乗せた輸送機と合流しよう」

GM「輸送機とはアームブリッジ近くで合流できたよ。ここでビクター=シュタイナー=ダビオンが『もし、このままこの星から脱出したいだけなら、僕の降下船と航宙船を提供しよう。ドラコ連邦の首都まで送ろう』と提案してくれる」
フェイミン「それもいいけど、部隊の資産は取り返しておきたいな」
ジーン「じゃあ、宇宙港へ向かいましょう」
トーマス「宇宙港近くまで輸送機で送ってもらい、それからメックで宇宙港に近づく」

GM「すると、宇宙港近くで氏族(クラン)製のメック2機が出迎えるよ。残りの1機は首都の防衛に回っているみたい」
フェイミン「敵の編成は?」
GM「50トンのノバ(ブラックホーク)と30トンのキットフォックス(ウラー)だ。PC側150トンに対して氏族(クラン)側80トン。普通に考えれば約2倍の戦力差だが、氏族製のメックは性能がいいぞ」

 ノバは大口径パルスレーザーにウルトラAC5、マシンガン2門という近距離専用のB型装備。キットフォックスはガウスライフルにER中口径レーザー2門という遠距離型のA型装備です。

【第1ターン】
 お互い走行して距離を詰めます。途中の地形妨害が多いことと、距離が離れていることのため、まだ射撃はありません。フェイミンノ=ダチが発熱を得るためにER−PPCを空撃ちします。

【第2ターン】
 TSMのおかげで機動力の上がったこともあり、フェイミンノ=ダチが一気に近寄ります。
 PC側の射撃はノバに集中し、氏族(クラン)側の射撃はフェイミンノ=ダチに集中します。お互い突出したメックに砲火が集中した形になります。

 このターンの射撃でフェイミンノ=ダチは右腕にガウスライフル、ER中口径レーザーの集中砲火を浴び、一気に中枢までダメージが入ってしまいます。

GM「右腕の中枢に入ったが、そこって、弾薬がなかったか?」
フェイミン「致命的命中……10。「エッジ」を使って振り直す。今度は経験点も払って目標値を下げる。……起きていない」
GM「弾薬むき出しか。なかなか恐いな」

【第3ターン】

 フェイミンノ=ダチノバに接近します。

GM「ウルトラAC5って、AC5なのに最低射程が無いんだよなあ。ああ、当たった。しかも、また右腕。命中弾数は1発」
フェイミン「致命的命中が起きている。……ER−PPC。セーフ、セーフ」

 このターンにトーマスリンクスが戦場の真ん中に躍り出て、キットフォックスにぴったり7距離に詰められてしまいました。ちょうど近距離のガウスライフルが炸裂します。しかしリンクスは限界まで装甲を張っているため、簡単には装甲は抜かれません。
 このキットフォックストーマスリンクスをガウスライフルの近距離に収めようと、やはり遮蔽の無い戦場の真ん中近くまで移動していました。そのため、森に隠れて静止していたジーンラプターの全力射撃を浴びてしまいます。

ジーン「大口径レーザーがキットフォックスの右胴に当たりです」
GM「それは中枢に入っている。致命的命中判定を振ってみて」
ジーン「6ゾロ」
GM「だあ。右胴にはXLエンジンが2個所張り出しているんだあ」
フェイミン「エンジン2個所致命的命中か。中心領域製のXLエンジンだったら破壊されていたな」

 エンジンは3箇所の致命的命中を受けると破壊されます。氏族製のXLエンジンは側胴に2箇所の装備欄なので側胴を破壊されても稼動できますが、中心領域製のXLエンジンは3箇所も持っているので、側胴が破壊されるとエンジンも停止してしまいます。

GM「まあ、キットフォックスはガウスライフルを撃っている限り、エンジンに2個所致命的命中があっても発熱しないから問題はないが」
トーマス「ずるいなあ」

 そして格闘フェイズ。

フェイミン「ソードの目標値が4。……外れたあ。今回、目標値4を失敗しまくってるぞ(笑)」

【第4ターン】

 ノバノ=ダチからジャンプで離脱を図ります。やはり森の中で静止するジーンラプターを避け、間に森と林を挟んで射線を遮る位置に着地します。
 このターン、ジーンラプターキットフォックスがお互い足を止めて撃ち合います。

フェイミン「MRM20がキットフォックスに命中」
トーマス「中口径レーザーがばらばらと命中」
GM「おお。全身穴だらけになっちまった。中枢に入っていないのは胴中央と左足だけかい」
ジーン「大口径レーザーが胴中央に命中」
GM「中枢に入った」
ジーン「致命的命中は1個所。……エンジン」
GM「これでエンジンに3個所目。沈んだ」

【第5ターン】

 ジーンラプターも森から離れ、PC側は全機でノバを囲みます。
 ノバは真っ正面2ヘクスの位置まで接近してきたトーマスリンクスに砲火を集中しますが、厚い装甲を貫くことができません。

トーマス「中口径レーザーがばらばらと。それからER−PPCがノバの右腕に命中」
GM「右腕が落ちた。いちおう致命的命中判定を」
トーマス「致命的命中1個所発生。場所は……ACの弾薬」
GM「そいつはメックもろとも爆発したな。これで戦闘終了だ」
 

GM「こうして宇宙港は傭兵部隊の手に落ちた。君たちの降下船も取り戻すことができた」
トーマス「よし、氏族(クラン)の援軍や、敵になった惑星軍がやってくるまえに脱出しよう」
GM「うん。取り返した降下船でビクター=シュタイナー=ダビオンの航宙船までたどり着いた。『それでは、ドラコ連邦の首星ルシエンをめざします』とビクター=シュタイナー=ダビオン」
フェイミン「なんとか一件落着」
 
 

《結末》

GM「さて、帰途にビクター=シュタイナー=ダビオンが君たちに申し出をする。『どうだい、今のクリタ家との契約期間が終わったら、僕に仕えないか。君たちの生存能力を僕は高く評価しているんだ』」
フェイミン「生存能力(苦笑)」
トーマス「断るいわれはないなあ」
ジーン「次の契約先も決まっていないし」
フェイミン「むしろこちらから連れていってください、って言いたいかも」
トーマス「じゃあ、喜んで引き受けましょう」
GM「『おお、引き受けてくれるか。ありがたい。君たちの身分はしばらくは僕の直属の特殊部隊ということになると思うが、王宮に閉じこもってばかり、というような退屈はさせないつもりだ。よろしく頼むよ』
 というところで第1回のプレイは終了です。お疲れ様でした」



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